写真家 上田哲さん

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太陽や空、木々を見たとき

胸が熱くなったり、涙がこぼれそうになることがあります。

 

それと同じ感覚を味わう写真に出会いました。

 

 

 

まるでそこにいるかのように

音、光、風が感じられるのはなぜでしょう。

 

 

 

写真家・上田哲さん、30歳。

身体にハンディキャップがありますが、

電動車椅子にのってあちこちに出かけます。

 

 

カメラに興味をもったのは、15年前。

夕焼けと雲をみたとき

その美しさを何とか残したいと思いました。

 

しかし手が不自由なため

ぶれてしまい、うまく撮影できません。

 

それでも撮りたいと思いついたのは

足でシャッターをきることでした。

 

独自のスタイルで

上田さんは、夕日、雲、雨上がりの霧がかった山など

さまざまな自然の表情を切り取ります。

 

 

 

2年前からはリモコンシャッターを使い、手で撮影できるようになりましたが

それでも一枚を撮るまでに10分、長ければ30分かかるといいます。

 

 

 

自然のうつろいのように

ゆっくり、じっくり、思いを込めて。

 

 

「自然が大好きです。

自然はゆっくりしている。待っていてくれるから。

写真を撮ることは、僕にとって自然とふれあい、親しむことなんです。

風が吹くことで雲が動き、波ができ、鳥の声が聞こえます。

風を感じてシャッターチャンスを狙うんです。」

 

 

見過ごしてしまいがちな自然の一瞬の表情をみせてくれる上田さん。

撮影するうえで何を大切にしているのかと尋ねたら、一言。

 

 

 

「心の余裕です。」

 

 

あぁ。本当にそうですね。

撮影も、日々を生きるにも

余裕がないと大切なこと、見過ごしてしまいますよね。

 

 

「いつかオーロラを撮ってみたい」とニコニコと話す上田さん。

異国の風を感じて、どんな写真が生まれるのでしょう。

もう、想像するだけでワクワクしてきます。

 

 

(うえだ・あきら 南砺市出身)