時の移ろいを感じる、素敵な水彩画に出会いました。
海や町を徐々にそめゆく太陽。
木々の薫りをなでるような水の流れ。
表情豊かに自然の息吹が絵画から溢れだします。
作者はこの方。
稲澤廣明さん、61歳。
麦わら帽子がトレードマーク、とっても気さくな紳士です。
稲澤さんは、100%現場がモットー。
キャンピングカーで滞在しながら作品を描きあげていきます。
「1~2時間ぼーっとしていると頭の中に絵ができてきて、一気に描きあげる。
風景から“こう書いてくださいね”みたいなメッセージがきて助けてくれるから
そういうコミュニケーションがとれる現場で絵を描くんだよね。」
風景と会話をしながら
稲澤さんは「無駄のない線」で表現することを心がけているそうです。
「細かい絵を描くと絵が主張しすぎる。
ゆったりした絵を描くと
十人十色で観る感情が微妙に違ってくるし、日によって見えかたも違う。
だから、少ない線で幅のある絵、時間の流れのある絵を描きたい。
わずかな線で表現するのは難しいけど、それができたらいかに深いかなんだよね。」
細かくなればなるほど余裕がなくなってしまう、とは妙に納得。
シンプルに、ゆったりと。
生き方もそうできたら・・・深みが増すのかも!
ゆったりとした絵を描くために稲澤さんが10年間、続けているのが
目の前を通り過ぎる人を瞬時にとらえる「世人」スケッチ。
何気ない表情や動き・・見れば見るほど人間って愛しいなぁと思えてきます。
稲澤さんは、その人に染みついた「人間味」を1~2分で書き上げることで
ゆったりとした絵に必要な洞察力と集中力を鍛えているのだそうです。
小学生から絵描きになる夢を持ち続け
今では数々の展覧会で受賞し、海外でも個展を開く稲澤さん。
夢を叶えられたのは、そうして努力を惜しまず描き続けてきたことだといいます。
「才能よりも、まず継続。何十年も続けることが大切。
あせらずにあきらめなければ、達せられるときがくるから。」
変わらぬ努力を続ける稲澤さん。
そんな姿をみたら、風景もそっと声をかけたくなるのかもしれませんね。
(いなさわ・ひろあき 黒部市出身)
check!! 稲澤さんの作品展が開かれます。
10月15日(月)~18日(木) 新潟 県民会館
10月24日(水)~28日(日) 石川 プラザ樹(金沢)
12月14日(金)~18日(火) 富山 黒部市コラーレ
詳しくは稲澤さんのHPをごらんください。
http://a-zenkichi.com/index.htm